前任の田沼意次は、
斬新な作戦だったのだが、
商人とズブズブな関係になってしまったこと、
飢饉、火山の噴火と、
立て続けに災難が降り注いできたこともあり、
失敗に終わった。
残った遺産が次のものだったね。
①飢饉のせいで、農村が乱れた
②政治が乱れた
③もちろん財政難も続く…
農村が乱れたってことは、
税収である年貢も激減することを意味する。
ここで白羽の矢が立ったのが、この人物だ。
福島県の白河藩主、松平定信だ。
おじいちゃんは徳川吉宗。
なお、徳川家由来のまつだいらさんは、
アクセントが
「まつだいら」さんなの。
だから、末裔の松平定知アナウンサーも、
自己紹介で
「まつだいらです」と言っている。
(フツーは「まつだいら」でしょ?)
で、白羽の矢が立てられて理由は、
天明の飢饉の際に、
白河藩の百姓を死なせずすんだから
とのこと。
その策の1つが、米を買い集め、
配ったというものだ。
他の藩はどうなろうが、お構いなし。
で、1787年から、改革がはじまる。
名付けて、いいな、はな。寛政の改革。
この年、ヨーロッパの歴史とつなげるための
ちょうどいい年代なので、しっかり覚えておくこと。
いいなパクパクフランス革命の2年前だ。
さあ、教科書で政策を見つけてみましょう。
そして、システマティックに整理しましょう。
飢饉のせいで、農村が乱れた対策
東京書籍の教科書では、困ったことに、1つの文の中に、
3つもの政策が書かれている。
1つ1つ分解してみましょう。
①江戸に出てきていた農民を故郷に帰す。
②商品作物の栽培を制限して米などの生産をすすめた。
③凶作やききんに備えて米をたくわえさせた。
この3つね。
政治が乱れた対策
江戸時代、政治や世の中が乱れたら何を利用するか。
覚えているかな。
それは学問、儒学であり朱子学だ。
てことで、
徳川綱吉が作った湯島聖堂を、
幕府直営の昌平坂学問所にして、
ここでは朱子学オンリーにした。
財政難対策
もちろん農村を救うことこそ、
本来の百姓からの年貢を確保するための
最大の政策であるが、
強いて言うと、教科書にこんな記述がある。
・札差(当時の高利貸し)からの借金を帳消しにした。
・倹約令を出した。
ここからの内容は、少し教科書では浅くしか書かれていないが、
これを知っておくとあとあとシステマティックになるので、
紹介しておきます。
大きな内容としては、
幕府にもの申す人は処罰されていったのだ。
ただ、問題なのは、それよりも、その訴えた内容だ。
具体的な内容は次のようなものだ。
ロシアって国が、蝦夷地に侵入しようとしてるよ。
海からの攻撃に備えないといけないよ。
これにどう対応したか。
は?わけわからんこと言って、
みんなをまどわすなよ
プライドもあったんだろうな。
結局これを言った林さんは処罰されることになる。
で、さらに話は続く。
それで終わりならなんともないんだが、
なんと、本当にロシア人(ラクスマン)が根室に来てしまったのだ。
場所はこのへん(google map)
あ…ぼくたち、貿易するときは長崎って決めてるんで、
用があったら長崎に来てね…
としか言えなかった。
(そんなこと言うから、12年後、本当に長崎にレザノフがやってきてしまうのだが…)
それはさておき、結果として、
幕府(定信ではない)が間宮林蔵らに命じて、
蝦夷地・樺太を探索させるのである。
これが、のちのち国境問題に影響を与えることとなる。
さて、いよいよ結果発表だ
町人の反応は、次のようである。
白河の 清きに魚も 住みかねて もとの濁りの 田沼恋しき
世の中に 蚊ほどうるさき ものは無し ぶんぶというて 夜も寝られず
今でいう、「サラリーマン川柳」的なものの本家ね。
なお、これは五七五七七なので狂歌という。
簡単に解釈すると、
「勉強ばっかりしろってうるさい」
「キビしすぎて、今までの田沼の方がよかった」
ってことだ。
農村にはいいかもしれないが、
貨幣経済が発展した町人にはなじまない方針だったようだ。
結局志半ばで辞めさせられたということだ。
では、システマティックにまとめてみましょう。
松平定信の寛政の改革(1787~)
解決すべき課題と対策
☆荒廃した農村復活対策
①江戸に出てきた出稼ぎ農民を故郷に帰す。
②商品作物の栽培を制限し、稲作に専念させる。
③倉を作って、米を保存する。
☆乱れた政治を直す対策
④昌平坂学問所で朱子学を学ばせる
☆財政難対策
⑤札差からの借金を棒引き
⑥倹約令
※その他
⑦ロシアのラクスマンがきた。
新たな課題として、
外国人対策が追加される。
ポイントは以下の点である。
他者との違いは、
①農村の復興により、
経済を立て直そうとした点
②朱子学で
社会をきれいにしようとした点
である。
倹約令など、みんなやってるので、
自分が出題者なら、その2点を狙う。
政策自体はいいものだろうが、
人の心をつかむことができなかった。
人情は天下一にして、
我にくむ所好む所は、
また人のにくむ所好む