いよいよ、富国強兵の富国編に突入する。
なんせ、日本は鎖国をしていて
外部の情報がなかなか入ってこなかったから、
浦島太郎状態。
イギリスでは18世紀(~1800年)には
産業革命が起こって、
工場制機械工業となっている。
なお、日本は19世紀(1801年~)に入って
ようやく一部で
工場制手工業がはじまった
程度の技術力である。
つまり、現代風に例えてみると、
日本は、「の○太」の世界で、
欧米は、すでに某ネコ型ロボット
「ドラ○もん」が製造されている
というくらい、
日本は遅れているということである。
なんやかんやで、イギリスでさえも、
名誉革命が起きて、自由な経済活動を行い、
産業革命が起こるまでに
100年を要している。
で、
どのようにして100年もの産業の遅れを取り戻したのか
が、今回のテーマである。
で、その方策の成功例として資料提示されるのが、やっぱりここだ
富岡製糸場(群馬県)なのである。
※目の前にあるのは、繭を保存するところ
※なお
製糸=生糸(絹糸)
紡績≓綿糸
と思えばOK。
桐生は絹織物の産地ね
もちろん、生糸の原料は、これね。
カイコさんのサナギ、いわゆる繭だ。
なお、現地調査によると、
これ1個で、なんとー
…
…
1400mもの生糸になるそうだ。
で、本題。
なぜ、この建物は
100年もの遅れを
取り戻すものなのか
ヒントは、上州富岡製糸場之図にある。
なお、残念ながら、今ではレンガづくりじゃないのよ。
教師としては、
さて、この資料から読み取れることは
なんだろう?
これが定石の問題である。
めちゃくちゃ
工業化されている。
黒い服を着た人が、作業を管理している。
教えているようだ。
女性が作業をさせられている。
反応もだいたいこんなもの。
ただ、これだけでは、100年の遅れを取り戻すことはできない。
「反応3」の読み取りだけでは、まだ足りないのだ。
もっとその女性を細部まで観察してみよう。
あっ、この人たち、
なんかいい服着ている!
これが重要ポイントなのである。
工場で働いている女性=貧しい女性
と思われがち。
たしかにいずれ明治時代後半以降はそのような構図となる。
しかし、この工場で働いているのは、
いいとこの子、つまり士族の娘なのだ。
ほら、この人、いいとこの娘でしょ?
マスコットキャラクター、お富ちゃん!
そんで、この人たちが、
地方に技術を伝えていくのだ。
つまり、明治政府がとった作戦は、こうである。
①外国人に指導してもらい、国が経営する工場を作る。
※官営模範工場という。
②士族の娘を呼び集め、働いてもらう。
③学んだことを、その士族の娘によって地方に広めてもらう。
④官営模範工場を、民間に払い下げる。
ちなみに富岡製糸場は
1893年にはすでに三井さんのものになっている
※その後は、原さん、片倉工業にうけつがれた
※三井のように、日本の経済を支配するくらいの力を持つ資本家を財閥という。
日本では、四大財閥がいる。
三井・三菱・住友・安田だ。
この作戦によって、
100年もの技術の遅れを取り戻していくのだ。
で、これを殖産興業とよんでいる。
なお、このことなどに尽力したのが
渋沢栄一だ。
新1万円札の顔になったことで、
俄然注目度(出題率)がアップしている。
あと、
これらの政策により、
外国の文明が日本に流入し、
文明開化を迎えたことも、おさえておきましょう。
どのようにして100年もの産業の遅れを取り戻したのか
○作戦
①外国人をやとう
②官営模範工場を作る
有名なのが、富岡製糸場
③士族の娘を働かせて、地方に広める
④民間に工場を払い下げる
(殖産興業)
○影響
①工業化が急速に進む
鉄道などもできる
②文明開化もおこる
③いずれ払い下げの金額が
やり玉に挙げられるときがくる。
あと、この急激な工業化により、
かの有名な
足尾銅山鉱毒事件(栃木県)
も起こるのも知っておきましょう。
これにて、明治時代(1)明治の新システム構築編は完結。
次回からは、明治時代(2)対外関係整理編に突入する。